青焔会報 2003年7月号  
   
人道  
米山郁生
 
   

 今月号、総て報道に関して。

 “誠に無知である、しかし、総ゆる事を知っているつもりでいる それが政治家だ”等と揶揄される政治家と、“自分自身が理解出来ない事を他人に説明する仕事”と皮肉られるジャーナリストとどちらが知識が豊富か。英国BBC、人気クイズ番組で両者が対決215対25でジャーナリスト側が勝ったという一文が7月6日の朝日新聞天声人語に掲載された。日本でもそんな番組を作って頂きたい。

 自民党の太田元総務庁長官“集団レイプする人はまだ元気があるからいい、まだ正常に近いんではないか”と発言、太田議員の夫人や愛する娘さんが居たとしてレイプされていたら、元気がいいから!等と言っていただろうか。他人の事だからどうでもいいのなら議員失格。野党の女性議員有志も国会議員がそういう事を言うべきではないと抗議。国会議員でなければ良いのか。普通の人達だって誰もそんな馬鹿な事は言うまい。

 三重県河芸町の町長が町議に暴力団呼ばわりし町議会が全会一致で不信任議決、町長が議会解散、自らも辞職、己の不始末を他の人まで巻き添えにする身勝手さ。

 森前首相が“子供をつくらない女性が年をとって税金で面倒をみなさいというのは本当におかしい”と発言、そういう事を言う森さんは相当におかしいし、そういう人が首相をしていた日本は本当におかしい。

 民主党が1日政治資金パーティーを開いた。席上、管代表が“民主党に政権を託す勇気を持ってもらいたい”と呼びかけた、勇気等求めていないで民主党に政権を持たせたくなる働きをして欲しい。党が強ければ人は自然とついて来るものだ。お願いしている内は大きな波は起きては来ない。政治家は人の心を掴む事が大切、心の温かさ、するどさ、歯切れ良さ、頭の回転の良さ、人の心の中に居座ってしまうくらいの気迫の強さ、そして実行が伴なえば政権は自ら見えてくる。

 共産党の志位委員長が筆坂議員のセクハラ問題に関連して、党関係者は自宅以外での飲酒を原則禁止している内部規定を徹底と発言、二日後、その規定は無かったと公式発言を撤回。そうであろう、万一、仮に共産党が政権をとった時国民の中で飲酒による事件が多発した場合、飲酒禁止令でも出すのだろうか。酒が人を変えるのでは無い、人の内面が酒によって浮かび上がってくるのだ。酒のせいにしては酒が迷惑。

 世界平和と人道主義を標榜している公明党が、小泉政権の中でイラクへの自衛隊派遣を強力に協力して成立させる不思議。政治に本音と建前の駆引きは常だが宗教家がそれをやっては成仏しまい。混迷党に改名を。

 ブッシュ大統領が発言、米軍に攻撃出来ると思っている者がいる、彼らへの答えは“かかってこい”だ。世界の大国の大統領の言葉?。その後から日本の首相が顔だけ出してへっぴり腰、電源の切られたマイクを掲げ“やっちまえ”と小声で叫ぶ。日本とは友情を交わしてきたアラブ社会。その指導者が、日本は米国、英国に次ぐ第三の敵だ!。

 ヨルダンのアンマン空港で毎日新聞の記者が記念品としてバックに入れ持ち歩いた手投げ弾が爆発、死傷者6名、死亡したカルハン曹長は結婚を控え新居も出来ていた。父親代わりの長兄が、“ヨルダン、日本両政府の良好な関係を大切にしたい、遺族としては何も代償を求めない、心配する家族の元に早く帰れる様願っている”“我々の家に来る者は何があっても許すのが我々の習慣だ”と語る。判決公判で記者は禁固1年6ヶ月、毎日新聞は判決後検察、弁護側に控訴しない様確認書を出す様要請、判決を確定させた後、アブドラ、ヨルダン国王に特赦を申請、16日国王の裁可を受けて特赦、17日釈放された。公判で記者は犯意は無いと無罪を主張、だが6人もの死傷者を出し仮にその爆発が航空機内で起き何百人もの犠牲者が出たらどうなのか、その安直さ、無知さは充分罪に値する。毎日新聞は日本の国力を背景にヨルダンの国と国民を愚弄した。記者をかばいながら釈放後帰国した記者を懲戒解雇にした。記者は道義的責任を一生背負って生きると言うが、日本に居て何が出来るのか。毎日新聞は例えば米兵が沖縄で婦女を暴行した時等、何も発言しないつもりか、それともそれはそれ、これはこれと勝手な理屈をつけるのか。ジャーナリストとして最も大切な、最も基本的な部分を自ら放棄して何が出来るのか。

 関係者への補償は充分する、1年6ヶ月の刑は特赦等させず全うさせる、その後、5年、10年、ヨルダンの国民が心から感じるまで現地での特派員を続けさせる。何をすれば良いかそれは1年6ヶ月が重要な意味を持つ。それが毎日新聞がジャーナリストとしての使命を世界に広げてゆく証しになるのだ。

 目先の出来事だけに終始する政治家もジャーナリストも日本の大切な役目から退いて頂きたい。

 
   
青焔会報 一覧に戻る
 
   
絵画教室 愛知県名古屋市内外 青焔美術研究所 トップページ